空き家の引き取り費用はなぜかかる?見積の内訳4つと確認のしかたColumn
2026年9月13日
この記事では、空き家を「引き取る」という話の中で出てくる費用が、どんな項目でできているのかを整理します。登記費用、解体・撤去、残置物の処分、仲介手数料と契約不適合責任の免責という4つの内訳と、支払う前にご自身で確認できるポイントを、順にお伝えします。
「引き取るのに費用がかかる」と言われて戸惑ったら
大阪市内やその近郊で相続した空き家について不動産会社に相談したところ、「引き取りますが、費用は売主のご負担です」と言われて戸惑う方は少なくありません。家を手放すのにお金を払うのは、感覚として納得しにくいものです。ただ、古い家や再建築が難しい家では、売却額より手放すための費用のほうが大きくなることがあり、費用が発生すること自体は珍しい話ではありません。
大切なのは、費用がかかるかどうかより「何にいくらかかるのか」が見積に書かれているかです。内訳が分かれば、その項目が本当に要るのか、別の方法があるのかを落ち着いて考えられます。ここからは、見積に出てくることが多い4つの項目を見ていきます。
見積に出てくる4つの内訳
内訳1:登記費用
不動産を引き渡すときは、所有者の名義を書き換える「所有権移転登記」が必要です。登記には税金と、司法書士に頼む場合の報酬がかかります。どちらが負担するかは契約で決めるもので、見積に「登記費用」とある場合は、売主側が負担する取り決めになっていると考えられます。
もうひとつ、相続した家が亡くなった方の名義のままになっている場合は、売る前に相続登記を済ませる必要があります。相続登記は2024年4月1日から義務化されており、相続を知った日から3年以内に申請しないと10万円以下の過料の対象になります。2024年4月1日より前に相続した家も対象で、その場合の期限は2027年3月31日です。引き取りの費用とは別に、この相続登記の費用が含まれているかどうかも確認しておくと、後で「聞いていない」となりにくくなります。
内訳2:解体・撤去費用
建物が古く、そのままでは使えないと判断された場合、「解体して更地にしてから引き渡す」ことを条件にした見積が出ることがあります。解体費用は建物の構造や広さ、前面道路の幅(重機やトラックが入れるか)、隣の家との距離などで変わり、物件ごとに差が大きい項目です。
ここで確認したいのは、解体が本当に条件なのかという点です。引き取る側が建物付きのまま受け入れられるなら、解体費用はそもそも発生しません。なお、大阪市には狭あい道路沿道老朽住宅除却促進制度や防災空地活用型除却費補助制度など、条件に合えば除却費用の補助を受けられる制度があります。対象エリアや条件、金額は年度で変わるため、大阪市計画調整局建築指導部建築企画課(06-6208-8759)で確認してみてください。
内訳3:残置物の処分費用
残置物とは、家具や家電、衣類、食器など、家の中に残された家財のことです。相続した家では亡くなった方の荷物がそのまま残っていることが多く、その処分費用が見積に載ることがあります。処分費用は量と種類、搬出のしやすさで決まります。
この項目も、引き取る側が「残置物そのまま」で受け入れられるかどうかで、要・不要が変わります。ご自身で片付ける、形見分けだけ済ませて残りは任せる、といった選択肢もあります。見積の残置物費用が「全部処分する前提」なのか「一部だけ」なのかを聞いておくと、判断しやすくなります。
内訳4:仲介手数料と契約不適合責任の免責
見積の形が「仲介」の場合、売買が成立したときに不動産会社へ仲介手数料を支払います。一方、不動産会社自身が買主になる「買取」では、原則として仲介手数料は発生しません。同じ「引き取り」という言葉でも、仲介なのか買取なのかで費用の構造が変わるため、まずどちらの形なのかを確認してください。
契約不適合責任とは、引き渡した後に雨漏りやシロアリなど、契約内容と違う不具合が見つかった場合に売主が負う責任のことです。古い家では、この責任を売主が負わない「免責」の条件で契約することがあります。免責にする代わりに価格を調整する、免責の範囲を限定する、といった取り決めが行われるので、見積や契約書に免責の条件が書かれているか、書かれているなら何が免責されるのかを読んでおくと安心です。
支払う前に確認したい3つのこと
- 内訳が書面で示されているか。「引き取り費用一式」のように項目がまとまっている場合は、上の4つに分けて説明してもらいましょう。
- どの項目が「条件」で、どの項目が「選択」なのか。解体や残置物の処分は、引き取る側の受け入れ方によって不要になることがあります。
- 別の会社の見立てを聞いたか。ひとつの見積だけでは、その費用が物件の性質によるものか、その会社の進め方によるものかが分かりません。同じ物件を別の視点で見てもらうことで、判断の材料が増えます。
費用がかかる見積を出す会社が悪いわけではありません。物件の状況によっては、費用を払ってでも早く手放すのが合理的なこともあります。ただ、その判断は内訳を理解したうえで行うものです。
まとめ
空き家の引き取り費用は、登記費用、解体・撤去、残置物の処分、仲介手数料と契約不適合責任の免責の4つに分けて考えると、全体像がつかめます。見積を受け取ったら、内訳を書面で確認し、どの項目が条件でどの項目が選択なのかを聞き、できれば別の会社の見立ても聞いてから、支払いを決めてください。
空き家バンクドットコムでは、他社の見積をお持ちの方向けにセカンドオピニオンの相談を受け付けています。写真を送るだけで、最短6時間で回答します(受付8〜22時)。相談無料・秘密厳守で、他社への連絡はしません。お電話は0120-23-7374でも承ります。
本記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、個別の税務・法務の判断は税理士・司法書士・弁護士等の専門家にご確認ください。制度の内容は2026年9月時点のものです。